脳に電気刺激、歩行改善 パーキンソン病リハビリで 神経難病の一つ、パーキンソン病のため歩きにくくなってきた人にリハビリを行う 際、歩くリズムに合わせて頭の外側から脳に電気刺激を与えることで歩行機能が改善 したと、名古屋市立大などのチームが25日までに、英医学誌に発表した。 パーキンソン病は、脳の神経伝達物質ドーパミンが不足し体の震えやこわばりなど の症状が出る病気。薬で治療しても次第に効きが悪くなることが多い。チームの植木 美乃(うえき・よしの)教授と野嶌一平(のじま・いっぺい)教授は「将来的には、 今回の方法を症状が軽いうちに使い、薬を飲み始めるタイミングを遅らせられるので はないか」と話した。 研究には患者23人が参加。5センチ角の電極を仕込んだバンドを頭に着け、弱い 電気刺激とともに歩行練習を週2回、5週間した。前後を比べると、歩く速度が1 8%向上。思うように足が前に出せず転ぶ原因になる「すくみ足」の頻度を尋ねると 24%減少していた。一方、歩行リズムとは無関係に刺激を与えた人では改善しな かった。 電気刺激は神経細胞を興奮しやすくし、バランス感覚などに関与する小脳と、運動 中枢がある中脳の連携を改善した可能性があるが、仕組みは不明。今後は筋トレで負 荷をかけるように、歩くのを阻害するような刺激をわざと与えてみるなど、さらに効 果が上がる方法を探したいとしている。 注)英医学誌ジャーナル・オブ・ニューロロジー・ニューロサージャリー・サイカ イアトリー電子版に掲載