脊柱管狭窄、固定術追加に効果なし
脊柱管狭窄症は馬尾症候群といって麻痺が伴う重篤な病態です。
必ず麻痺が伴います。大小の排泄機能の感覚がなくなったら、時間が勝負の手術が必要になります。
こうした症例では手術を迷っている暇はありません。
でも、脊柱管が狭窄されてくるのは老化現象でもありますから、20歳を過ぎるとほとんどの人に兆候がではじめます。
だからといって、すべての老人 が神経疾患(脊柱管狭窄症の場合は中枢性の神経疾患で、末梢にも神経症状の麻痺が起こります)になるわけではありません。
筋・筋膜や他の問題と見間違う可能性が多々ありますが、本態の麻痺症状は専門医であれば鑑別できるはずです。
ですから、痛みや痺れ感(麻痺性ではない感覚異常で、正座でのしびれ感と同様のもの)は、基本的に神経疾患ではない、と私は思います。
”New England Journal of Medicine”誌に、「脊柱管狭窄、固定術追加に効果なし」の論文が掲載されました。
その内容を紹介しておきます。
【原文を読む】(下のサイトを開くと、その記事が出てきます。中ほどに背骨のイラスト画像があり、そこからビデオを見ることとができます)
New England Journal of Medicine
腰部脊柱管狭窄症患者247例を対象に、減圧術に固定術を追加する有効性を無作為化比較試験で検証。
無作為化は、術前に腰椎変性すべり症のあった患者(135 例)となかった患者を層別化して行った。
減圧+固定群と減圧単独群で術後2年時のOswestry障害指数の平均スコア(27 vs. 24、P=0.24)および6分間歩行距離(397m vs. 405m、P=0.72)に有意差はなく、
5年時の臨床転帰にも有意差はなかった。