ピロリ菌はホントに悪者なのか!?
胃の中にはとても強い酸があります。塩酸よりも強いのです。これで体内に入るバクテリアを駆除しているわけです。
そんな環境の中で菌など生きていけません。誰もがそう信じて疑いませんでした。
ところがピロリ菌なるものが発見されたのです(1979年)。
そのピロリ菌を発見し、胃潰瘍や胃がんとの因果関係を証明した二人の博士が、その功績を評価されてノーベル賞を受賞しました。
今では、WHOでも「ピロリ菌を第一級発がん微生物」としています(1944)。我々を苦しめる憎たらしい菌ですね、ピロリ菌は!
この「ピロリ菌と胃がんとの因果関係」を証明した、もう一人の功労者がいます。マーチン・ブレイザー博士です。
ブレイザー博士が、最近本を出版しました。“Missing Microbes”(失われた細菌)という題名の本だそうです。
翻訳本が間もなく刊行されようなのですが、この本を巡って大きなニュースになっていました。
その内容にはとても驚ろきました。ピロリ菌は決して悪い菌ではない、というのです。むしろ人と共生して胃の健康状態を監視している管理人のような存在なのだ、とブレイザー博士は説いているのです。
ですから、ピロリ菌を除外すると「胃がん」のリスクは減るけれども、逆に「食道がん」のリスクが高くなるということです。驚きですね。
もはや定説になっているピロリ菌を、病原菌ではなく共生菌としての働きを説明しています。
ブレイザー博士自身が、ピロリ菌を除菌する手法確立するために自分自身を実験台にしました。その後から、逆流性食道炎に悩ませることになったというのです。そんな体験に基づいて警告を発しているのですが、これは博士自身だけの問題ではなくピロリ菌を除菌した人に多発するようになっていると言います。
次のサイトの記事に要約されています。
「ピロリ菌は病原菌ではなく共生菌(1) ピロリ菌を除菌すると食道がんに」
ではピロリ菌とどう付き合えばいいのでしょうか? この記事には、次のように対処法を提示しています。
ピロリ菌が起こすマイルドな胃痛は、私達の免疫細胞に、胃の状態が芳しくないことを伝えるメッセージだったんです。免疫細胞は、ピロリ菌からのメッセージを受け取ることで、胃液の量を増やしたり、減らしたりして、塩酸よりも強い胃液が胃粘膜をやぶり胃壁を傷つけることを防止しているのです。
ピロリ菌が起こすマイルドな胃痛が起きた時に、私達がすべきことは、ストレスを解消し、暴飲暴食などの不摂生を止めることです。胃薬を飲んで痛みを無理矢理に抑えてしまうことではないんです。
さて、ピロリ菌は除菌すべきか、それとも共生してピロリ菌のメッセージを聴いて共に生きるべきか! それが問題ですね。
記事の内容から、私も要点をまとめて図にしてみました。
(院長のブログ記事「ピロリ菌のメッセージを聴け!」から転載しました。)