プラシーボ効果、おそるべし!
骨粗鬆症で椎体が圧迫骨折をすることがあります。
外傷による骨折と違い、痛みがないこともあります。
でも身長が縮んだり、腰や背中が丸くなったりするだけでなく、痛みが起こることもあるのです。
もともと骨粗鬆ですから、なかなか骨折箇所も治りが悪い。
そこで「骨セメント療法(BKP)」(経皮的椎体形成術)が行われるようになりました。
要するに、潰れた背骨に骨セメントを注入して固めるというものです。
この骨粗鬆症椎体圧迫骨折で、痛みを訴える患者さん38例に対して骨セメント療法を行いました。
他の40例には手術したように見せかける模擬手術を行いました。
さて、その結果はどうだったでしょうか?
そんなRCT(ランダム化比較試験)による研究・調査が行われました。
(“A randomized trial of vertebroplasty for painful osteoporotic vertebral fractures.”)。
注目の結果は、本物の手術も偽の手術も、どちらも急速に痛みが軽減したのです。
なぜでしょう。
実は、「痛み」は骨粗鬆症の圧迫骨折そのものとは関係がなく、痛みは精神/心理的な問題で誘発されているとも考えられます。
また「思い」や「意志」といった作用が、痛みに大きくかかわるということが言えるでしょう。
注目された「骨セメント療法」ですが、残念ながら痛みをとるということにおいては、
プラシーボ効果の成績に勝てなかったことが証明されたようですね。